7月29日は、小野リサの誕生日に日本とブラジルをつないだボサノヴァを聴く

7月29日は、小野リサの誕生日に日本とブラジルをつないだボサノヴァを聴く

7月29日は小野リサの誕生日。日本でボサノヴァという言葉が広く日常に根づいていく流れをたどるなら、この人の名前はやはり外せない。

ブラジル生まれの感覚を、日本のポップな聴取体験へつないだ存在

小野リサは1962年7月29日、ブラジル・サンパウロ生まれ。ブラジル音楽に親しむ家庭で育ち、10歳で日本に移ったあとも、父が開いたブラジル料理とライブ演奏の店を通じて音楽文化の空気を身近に吸収した。15歳からギターを弾きながら歌い始め、1989年にアルバム『カトピリ』でデビュー。日本語圏ではまだ限られた愛好家の音楽として見られがちだったボサノヴァを、肩肘張らずに聴ける洗練されたポップスとして届けたところに、小野リサの大きな仕事がある。

『ナナン』以降、日本でボサノヴァを“特別な音楽”から“暮らしの音楽”へ変えた

1991年のアルバム『ナナン』は日本ゴールドディスク大賞のジャズ部門を受賞し、翌年の『ミニーナ』も同賞を受賞した。こうした評価は、単に作品の完成度が高かっただけでなく、ボサノヴァが日本のリスナーにとって身近な響きとして受け入れられ始めたことの表れでもある。さらに1998年にはアントニオ・カルロス・ジョビンの息子・孫と制作した『Bossa Carioca』を発表し、2013年には日本でのブラジル音楽普及への貢献によってブラジル政府からリオ・ブランコ国家勲章を受章した。日本とブラジルの音楽文化を往復しながら、その距離を縮め続けてきたキャリアだ。

今日聴くなら

今日はまず『ナナン』から入りたい。小野リサの声の柔らかさとギターの軽やかさが、ボサノヴァを知識ではなく体感として伝えてくれる。もう少し広げるなら『ミニーナ』や『Bossa Carioca』もおすすめだ。7月29日は、夏の空気に似合う涼やかなサウンドを通して、日本の音楽リスナーの耳を少しずつ変えていった小野リサの仕事を聴き返す日にしたい。